追分 エリア

    フロンティア・スピリット

    この映画の筋は、原作とはだいぶちがうが、要するに、永遠の子供の表徴であるピーター・パンと、
    悪の権化ともいうべき海賊の首領フック船長との戦いに、ピーター・パンが遂に勝つというところに、話の山がある。
     フック船長は、人を殺すことなどは、なんとも思わない兇悪な男で、力も非常に強い。しかし精神は弱い。
    ピーターは、自由に空を飛び廻れる敏捷な子供で、力は強くないが、高い精神をもっている。
    海賊船の上でのフック船長との最後の決戦で、業を煮やしたフック船長が、「空を飛んで逃げてばかりいるのは卑怯だぞ」と、どなる。
    ピーターは「なに、卑怯だって。それならもう飛ばない」と言いきってしまう。それからは、帆柱の横桁の上での血戦になるわけであるが、フックの長刀に切りまくられたピーターは、桁のどんじりに追いつめられ、おまけに唯一の武器たる小刀まで打ち落されてしまう。絶体絶命の境である。ロンドンから一緒に飛んできた子供たちの一人、ウェンディが、帆柱の上から「ピーター、飛びなさい。飛びなさい」と絶叫する。
    しかしピーターは「|私は約束した《アイ・ゲヴ・マイ・ウワーズ》」と言って、断乎として踏みとどまる。
     これがアメリカにおける初等教育の基本である。小学校における六年間の教育には、四つの基本線があるようである。
    第一は、「嘘をつかない」という教育を、躾として身につけさせること。第二は、それと関連しているが、
    約束《プロミス》は絶対に守ること。このプロミスという言葉には、誓《ちかい》の意味が、たぶんに含まれている。
    「アイ・ゲヴ・マイ・ウワーズ」した以上、それは取り戻せないことなのである。
    このエリアのおすすめ
    ©2025 軽井沢町商工会西軽井沢支部事務局 All rights reserved.